Nitzer Ebb - Showtime

Showtime -Bonus Tr-

Showtime -Bonus Tr-

イギリスのEBM/インダストリアルビート系デュオの3rd。
遅れてきたディー・クルップス、DAFのフォロワーとして現れた彼らも2nd辺りからシーンの動向が気になってしまったのか、アシッド・ハウスのノリを全面的に取り入れて他のインダストリアル・ビート勢とは趣が異なっていた。それはリミキサーにも表れていて、UKテクノの雄(だった)ウィリアム・オービットやMUTEの長(であった)ダニエル・ミラーらに頼むなど、よりダンスフロア志向が見られた。
で、この三枚目はフロア志向と初期のヘヴィなロック志向の狭間のような感じ。それは冒頭のギターのようなシンセ音からして解るだろう。当時、ミニストリーナイン・インチ・ネイルズや(サンプリングだが)ヤング・ゴッズのようなスラッシュ・メタルをインダストリアルに取込んだ、所謂「インダストリアル・メタル」が出始める一方でよりエレクトロニクスでフロア向けのジャンル「ニュービート」も現れた。この手のジャンルはフェーズ2に入っていた。そしてこのフェーズ2より、後の(米国を中心とした)オルタナティヴへ行く者たち、よりエレクトロニクスを追求してトランスへと向かう者たちと分かれることになる。
このアルバムはその分水嶺を表わしている。オルタナへの萌芽、トランスへの萌芽、その両方の芽を聴くことが出来るだろう。シングルではリミキサーに後のケミカル・ブラザーズに改名するダスト・ブラザーズの名があったりするのもその分水嶺を表わしていて面白い。