DAF - 1st Step To Heaven

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DAF - 1st Step To Heaven
最早このブログを覗いているような向きには説明不要なドイツの二人組による6th。
1stはアタタックというホルガー・ヒラー、デア・プラン、アンドレアス・ドラウらが居た所謂「ノイエ・ドイチェ・ヴェレ」を代表するレーベルから出て、続く2ndはこれまた英国ニューウェイヴを代表するMUTEから出ていた。
しかしながら初期の二枚はメンバーが後にデア・プランのメンバーになるピロレーター、リエゾン・ダンジェルーズのクリス・ハースらが居たせいか、試行錯誤かつ方向性が定まっていない。
メジャーレーベルの「ヴァージン」に移籍して発表した3rdが彼ら二人の方向性を定め、後の「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」というジャンルを構築(当時、似たような音がドイツ、その周辺国を主としてあったが、彼らがいち早く確立したように思える)。その極限までに音を削ぎ落としながら、ハードコアさを体現する縦ノリなエレクトロニック・パンクは同郷のクラフトワークなどのエレクトロ・ポップスとはまるで趣が異なっていた。
本作はそのメジャーレーベルの「ヴァージン」からも離れて彼らの本国であるドイツのメジャーレーベル「アリオラ・レコード」が取次をしていたDean Recordsからのリリース。そのことからなのかは知らないが、本作は以前の縦ノリからエレクトロ、ハイエナジーなどの所謂ディスコの横ノリへと移行している。本作の前にリリースされたガビ・デルガドのソロアルバムがファンクやラテン音楽を取り入れたものだったが、このアルバムはそのノリを更にエレクトロニックな方向に推し進めている。
前述したエレクトロやハイエナジーにラテンのりを加味した音は以前のDAFのエレクトロニック・パンクを期待した向きには当時どう聴こえたのだろうか(先行シングルが出た後のインタビュ記事(フールズメイト誌)を読むとロバート・ゲールが「僕たちとしてはそれほど懸念していない。例え一部分のそういったファンを失ったとしても、以前よりさらに沢山の理解者が得られると信じているし……。是が非でも暗いサウンドが欲しい人にはもう既に新しいアイドルが出来ている筈だからね」と答えている)。曲によってはイタロ・ディスコにしか聴こえないものもあったりする。ちなみに1998年に再発されてはいるがアマゾンでは品切れ(そもそもアマゾンにあるのが再発盤なのかも不明)、自分の観測範囲では再発盤を観たことが無い。ので入手には苦労するだろう(自分が持っているのは1986年に発売された日本盤)。