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Front Line Assembly - Convergence

カナダのインダストリアル系ユニットの初期作。
FLAの初期作はキャブスを水で薄めたような作品や実験的なダークエンビエント(主に初期デレリアム)だったりしてキツイけど、この辺りの作品から(個人的に)面白くなってくる。初期作と書いたのは、80年代後半の彼らのアルバムはいろんな国の色んなレーベルから出しかつデモ音源だったりジャケットや題名が違うだけで中身は一緒だったりするから。何枚目と書くのが面倒だから冒頭に「初期作」と書いた。結構消費者風情としてはムカつくけどねw中古レコード店で「やったー!確保」なんて購入していざ帰宅して聴いてみたら……。買う時は試聴が前提ですFLAは。俺はコレクターじゃないっての!本気で。
内容に移ろう。先に初期FLAはキャブス〜と書いたけど、80年代において(また現在においても)この時期のキャブスをフォローしようなんてバンドの音を自分は聴いたことがない。レーベルをメジャーに移して「(ホワイトハウスから揶揄された)ファンクスター()」を気取ろうとしたキャブスは(ホワイトハウスだけでなく)ノイズ・インダストリアルシーンからSPKと共に村八分にされていた。しかしこの音を面白がったのはミニストリーFront 242、FLAといった所謂エレクトロニック・ボディ・ミュージックの連中であり、そしてその中でも一番影響されていたのは本エントリで紹介するFLAだと思っている。しかも当時音までキャブスに似せようなんて連中はFLAだけだろう。この点でFLAは他の(というか米国の)EBM系バンドは違いインダストリアル及びエレクトロニック音楽を元に持っているという印象がある。後に殆どのEBMバンドがメタルに移行していったが、FLAの音は他のメタルとは違い、メタルを演ってもインダストリアル・メタル、デジタル・スラッシュという形容は外せない。
この作品は前述と矛盾するが、キャブスからの脱却が感じられる曲が満載。ギターの音、メロディ、ヴォーカルの加工などNW的音色から、メタリックギター、ライバッハを思わせる大仰かつ不穏でどこか第3世界的メロディライン、マーク・スチュワート等のエイドリアン・シャーウッドを感じさせる歪んだヴォーカル加工など。これは同時期に勃発し始めたEBMを形作るような音楽だ。彼らはここで初めて(強引な表現をすれば)オリジナルな音楽を作り始めたのではないか?そう自分はこのアルバムを捉えている。特に「ボディ・カウント」はキャブスを感じさせる冷たいエレクトロ・ファンクだが、聴き進むに連れNW的ディスコの呪縛からは逃れることが出来なかったキャブスには作りえない曲だ。
現在の彼らを好む向きには何光年も離れた音だと思うが、80年代後半のEBMが好きな向き(オレだよオレ)にはお薦めしたい。