2021年良かったアルバムとかEP

ドイツの元祖EBMデュオの8th。
ガビ・デルガド・ロペス亡き後、ロバート・ゲールが未発表のシーケンスやガビが鬼籍に入る前に録音していた音源をかき集めて、それを基に再構築したアルバム……らしい。
とはいってもガビの叫ぶようなヴォーカルが聴こえてくるわけもなく、シンセベース、タイトなドラムにガビの短いシャウトやブレス音、うめき声が乗っているだけ。曲によってはロバートがヴォーカルをとっているのもあるようだ。
しかし、それなのにも関わらずめちゃくちゃいいのは何故だろうか?まるで冥界からガビの霊を降ろしてきたような感じといえばいいのだろうか。
恐山に屯しているイタコの降霊術の様を録音したレコードがこの世に存在するらしいが、このアルバムこそそれだろう。実に恐ろしきアルバム。
VI/DEO

VI/DEO

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米国のシンセ・ポップスデュオの6th。
こういう音は2000年代前半のエレクトロクラッシュブーム前後によく聴いていたような覚えがある。レディトロン、ズートウーマンとか。
が、レーベルがDaisの所為かダークウェイヴ色が濃い。1980年代だったら4ADから出ていたでしょう。ザイモックスからギターを抜いた感じ。
Love's Secret.. -Digi-

Love's Secret.. -Digi-

  • アーティスト:Coil
  • Infinite Fog
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サイキックTV脱退組が結成したインダストリアル(として表すのも躊躇われるが……)ユニットの4th。
デジタルリマスタ盤に同アルバムのリミックス、ヴァージョン違い、デモ音源が付いたコンピ盤の二枚組となって再発。
この人たち、インタビュ記事を読むとアレイスター・クロウリーがどうたらこうたらと思いっきり神秘主義者たちなんですが、そういったコンセプトを上手く音楽に組み込んでます。
コンセプトが先行した挙句、凄い退屈……基、難解な音楽が聴こえてきたりするのだが、この人たちの音楽は(そういうコンセプトを入れているのにも関わらず)ポップかつバランス良くダークでニューエイジな音なので毎度関心させられる。
このコイルの人たちが居た初期のサイキックTVもそんな感じなのでお薦めしたいし、「インダストリアルってガー、ガー、ガッシャンって鳴ってるだけでしょ」という向きにも是非聴いてほしい。
Musick to Play in the..

Musick to Play in the..

  • アーティスト:Coil
  • Dais
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またコイルなんだけど。8thのデジタルリマスタ盤。
これもまた凄いゾ!IDMに接近していったアルバムらしいが、こんな音はオウテカでもボーズ・オブ・カナダでも作れないでしょう。
クロウリーオウテカの共作って趣。どう表現していいのか解らない!カナダのインダストリアル、EBM系ユニットの2021年作。
2010年に出したアルバム以降、ブロステップやエピックトランスっぽいことを演ってマンネリ感を払拭しようとしている感があったが、どれも自分が聴いた限りでは不完全燃焼に終わったような覚えがある。
ゲームのサントラをFLA名義でも出していたが、(FLA名義で)この音は無いよなーと思っていた次第(ゲームのサントラとしては良いのだが)。
でもこのアルバムはEBM、インダストリアル・メタル全開で時に哀愁あり時にサイバーに疾走したりと魅せます。
同郷のインダストリアル・メタルバンド、フィアー・ファクトリーで激速ギターリフを弾き出すDino Cazares、EBMの提唱者フロント242のJean-Luc Demeyerも参加は伊達じゃない!
あと一曲だけだが、ハード・ミニマルの進化系シュランツの雄ことクリス・リービングがミックスで参加しているのは驚きました。クソ硬質な音像を聴かせてくれていたクリリンの参加はFLAをフルアーマー仕様に換装してくれた。
是非とも次のアルバムでは全編ミキシングをクリリンに任せたい感じ。米国のIDM系アーティストの4th。
前作も傑作だったが、本作も負けず劣らず。
一言で表すとデッド・カン・ダンスとティム・ヘッカーの融合という圧巻な内容。
1990年代前半のアンビエントっぽいニューエイジな趣もあるが前述した通りダークウェイヴな味付けがなされている。
まるで人気のない森を歩いているような錯覚にとらわれる。