Die Krupps - V - Metal Machine Music

V - Metal Machine Music

V - Metal Machine Music

ドイツのインダストリアル・メタル/EBMバンドの8th。
傑作「The Machinists Of Joy」より2年。前作が素晴らしかっただけにその延長線上か大きく変えてくるかの2択だろうなと思っていたが先行する形でYouTubeに上がっていた動画を観てもう一択存在していたことに気が付いた。
それは「1990年代インダストリアル・メタル3部作」だった。プロパガンダに居たラルフ・ドルーパーが戻った再生ディー・クルップスは先ずニッツアー・エブと共演した後に「1」でミニストリーを追うようにスラッシュ・メタルを取り入れる所謂「インダストリアル・メタル」を作り上げた。そしてそのすぐ後にアンスラックスメガデス、スレイヤー、アイアン・メイデンというスラッシュ・メタルの四天王に負けず劣らずのメタリカの楽曲を全編に亘ってカバーした(ミニ)アルバムまで発表するに至っている。自分は後追いで聴いたので実感出来ないがこのバンド、元はノイバウテンと同じZickzackを出自とする「インダストリアル」バンドだったわけで、リアルタイムで聴いてきた人はさぞ驚いただろう。同名異バンドでは?と思った向きも相当数いただろう。
このアルバムはそんな「インダストリアル・メタル三部作」を思わす疾走するしかないスラッシュ・メタルだ。しかし1990年代の彼らがそうだったように以前の「EBM」を保ちつつもスラッシュするインダストリアル・メタルに仕上がっている。ハンマー・ビート&メタル・パーカッションの上を分厚いシンセ・ベースとアシッドなデジタル・リフがザクザクと斬っていくギター・リフと同期して走っていく。この辺りがミニストリーを始めとするUSインダストリアルとは大きく異なっているところだろう。無機質なデジタル・スラッシュ(それはそれで良し)とは違う肉体性を持っている。それは祖であるDAFやかつて(1980年代)の彼らとなんら変わっていない確固たる鋼の音楽性によるところだ。
またしても傑作がここに……。特に1990年代3部作が好きな向き(オレだよオレ)には買わないと!以上!