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ドイツのインダストリアル・メタル系バンドの9th。
四枚目の「Naïve」からメタル・ギターを全面的に取り入れて所謂「インダストリアル・メタル」ないし「インダストリアル・ロック」としてミニストリーナイン・インチ・ネイルズらと共に注目されるようになり、その路線は以後も続いていくのだけど、その路線は7枚目の「Nihil」で頂点を迎えたように自分には聴こえる。その次のアルバム「Xtort」ではデジタル・ハードコアばりの高速ブレイクビーツを取り入れたりして、明らかにインダストリアル・ロックから脱却しているように思えた。
このアルバムはその「Xtort」で魅せた実験的な方向をより推し進めたアルバムだろう。全編に亘り野太いエレクトロニック・ビートにアシッドなデジタル・リフ。特にデジタル・リフはTB-303の多用が目立ち、当時台頭していたアシッド・トランスやデジタル・ロックの影響が見て取れるような鳴り方で面白い。またスキニー・パピーから二ヴェック・オーガ、PIGのレイモンド・ワッツなどが参加し、豪華な布陣も魅せている。
しかし、デジタル・ロックのそれにはならないのはやはり「Wax Trax!」出身。圧倒的にエレボディしてしまう。(1990年代後半の)プロディジーとディー・クルップス、リヴォルティング・コックスの間を何で埋めたらいいのかと訊かれたなら、迷わずこのアルバムを挙げるだろう。お薦めの一枚。