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Prurient - Black Vase

Black Vase

Black Vase

アメリカのIan Dominick Fernowによるプロジェクトの2005年発表のアルバム。
昨日紹介したヴァチカン・シャドウの名義とはうって変って、初期SPKホワイトハウス、ラムレーを思い起こさせるパワー・エレクトロニクス。この手のジャンルは1990年代半ばにはリズミック・ノイズと呼ばれるビート系に収束するのだけど、ジオンの残党みたいな連中もいるわけで、それが本エントリで紹介するアーティスト。
スロッビング・グリッスルから始まったインダストリアル・ミュージックだが、当初から不健全で不快なイメージを表わすことに執着していたが、言い出しっぺのTGを含めてダンサブルな方向に転換していった。その方向性を引き継いだのがパワーエレクトロニクス、所謂「パワエレ」勢で、特にホワイトハウスは前述したTGとキャブスを「ファンク・スター(笑)」と揶揄して意趣返しをした。勿論、その精神病理ノリも受け継いでおり、ギグにはネオナチキッズが陣取りナチ式敬礼で迎える、猫などの動物の死体を持ち込み客席に投げ入れる、女性及び人種差別発言などなどパンクの「ヘイト&ウォー」と結びついた表現が余すとこなく入っていた。
しかし、そのような過激さを求めていくことには限界があったようでSPKはメンバーが自殺、ホワイトハウスもメンバーに対する殺害予告が出されると失速。ラムレーも音楽的に迷走をし始めて、SPKはポップスに転換、ホワイトハウスは音楽性はそのままにイメージだけを取り下げた(フロントマンのウィリアム・ベネットが「全ては炎上商売のため」だったと吐く)。
が、このアルバムはそんな事実は夢だったと言わんばかりに豪快にノイズを垂れ流す。リビドーの迸りの全てをノイズに加担したような暴力としか感じられない音楽。後半のメタル・パーカッションに怒号が入ってくるトラックがひたすらにカッコいい。
精神病理の初期SPKホワイトハウスを地獄から召喚するネクロマンサーの如く……。自殺したSPKのニール・ヒルが此処に甦る……。ちょうお薦め。