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Informatik - Playing With Fire

Playing With Fire

Playing With Fire

アメリカのエレクトロ・インダストリアル/フューチャー・ポップデュオの6th。
いきなりシンセ・ポップに転向してフューチャー・ポップとは袂を分かった前作から更に進んで(?)ロック路線をとり始めた今作。前作でも賛否両論だったようだが、彼等の挑戦というか挑発は終わらない。しかしこのロック路線が今作から始まったものではないことは、前作と今作の間にだしたリミックスアルバムで知ることが出来る。
ここで前作というかフューチャー・ポップについての話をしたいと思う。先に書いたとおりこのデュオは転向した。それまでフューチャーポップというVNV Nationを祖とする90年代後半に起こったエレクトロニック・ダンス・ミュージック。90年代後半当時ヨーロッパを隆盛していたイビサ・トランスやユーロトランス、そしてエピック・トランスといった荘厳でありながら、どこか卑けて俗な音楽にEBMのマッチョイズムを挿入したフューチャー・ポップはユーロトランスにたいするオルタナティヴとして発揮したに違いない(ここは殆ど妄想なので信じないで)。しかし00年代中期辺りからアイコンだったApoptygma Berzerkがバンド形態になりニュー・オーダーのようなエレクトロ・ロックンロールに転向。それを追うかのように言いだしっぺのVNV Nationもギターを取り入れたりまるで80年代のDAFのようなインダストリアル・ボディ・ミュージックに回帰するというかこれまた転向。
でこの2人組みも遅ればせながら、00年代後半に出した「Beyond」でシンセ・ポップスに転向。その前作は自分もその年のベスト盤に入れるほどの傑作。シンセ・ポップといってもかなり異質でフューチャー・ポップ上がりのトランシーでデペッシュ・モードを思い起こさせる陶酔や哀愁の効いたそのアルバムは、VNV Nationらとは違った方向での進化を見せてくれた。
このアルバムもその延長線上だが、よりハードロックというかエレクトロニック・ボディ・ミュージックに傾いてきた。この変化は前述したリミックス盤にある。リミックスに紛れて新曲を披露していたが、それは「Beyond」のダウナーからアッパーに変換したような煌びやかで耽美かつトランシーだがより覚醒するハードロック=ボディだった。「Beyond」をバースデイ・マサクレに再構築させたら……と表したらインダストリアル界隈ではピンとくるのでは。
前作「Beyond」の陶酔や哀愁を捨てず(というか活かして)、より覚醒するボディ・ミュージックを作り上げた。「Beyond」に引き続き名盤。買え。