Trisomie 21 - Works


フランスのコールドウェイヴ/ゴスバンドの8th。
PIASの80年代後半のコンピに収録されていた「The Last Song」が好きで、3年前から彼等のスタジオアルバムを探していたが、やっと入手(菊名のブックオフにて発掘された)。
このアルバムも「The Last Song」の路線とさほど変わらない曲が並ぶ。3年前に「The Last Song」を聴いた時にも感じたのだけど、ジョイ・ディヴィジョンから強迫神経症な部分を取り除いて、まるで心地よい夢を見ているようなメロディを注入したゴシックなロック。それはイアン・カーティスが自殺してニュー・オーダーに変わり音楽性が享楽的になったのと同じと考える向きもいるかもしれない。しかしニュー・オーダーの享楽は終わりがあることを常に考えている。それは自慰後に訪れるなんとも耐え難い寂しさに似ているような気がする。だからニュー・オーダーは悲しい。一方でTrisomie 21の享楽は終わりが見えない。アニメオタク風に書けば「終わらない文化祭」だ。軽い打ち込みビートの上をエフェクトの効いたサイケデリックなギターと幸福なシンセ・メロディが時に絡みときに疾走し、朴訥としたヴォーカルが歌い上げる。
あと思ったのが時代性が無いなと。ニューウェイヴらしいといえばらしいのだが、どこか外れるような気もする。この2010年代に生きている自分としては、どの時代にも存在するような音楽に思える。Section 25の80年代中期から後半のアルバムを聴いた時もTrisomie 21と同じで時代性がないと感じた。