Birmingham 6 - Error Of Judgement

Error of Judgement

Error of Judgement

デンマークのエレクトロ・インダストリアル/EBM系グループの3rd。
ほぼ全編に亘ってフロント242のジャン-リュック・デ・マイヤーをフィーチャー。その所為かフロント242の「06:21:03:11 Up Evil」の続きを聴いているような気分になる。
しかし、「06:21:03:11 Up Evil」がインダストリアル・メタルを取り入れたものの、そのジャンルとしては消化不良を起こしていた。アルバム自体の完成度は高いが、前述した通りいまいちインメタへの乗りきれなさが残ってしまっていた。
が、このアルバムはその消化不良が綺麗さっぱり無くなり……どころか追加でもう一杯という感じで、見事なレベルアップを果たしている、それがフロント242でないのが惜しいが……。
性急なエレクトロニック・ハンマー・ビートの上を如何にもEBMなシンセベース、切れの良いスラッシュ・ギター、トランシーなシンセ・メロディが疾走し、ジャン-リュック・デ・マイヤーのヴォーカルもそこに絡みつつ疾走。
ディー・クルップス型の熱きインダストリアル・メタルを奏でながらも、1990年代のフロント242を感じる超奇怪なアルバム。

Nitzer Ebb - Showtime

Showtime -Bonus Tr-

Showtime -Bonus Tr-

イギリスのEBM/インダストリアルビート系デュオの3rd。
遅れてきたディー・クルップス、DAFのフォロワーとして現れた彼らも2nd辺りからシーンの動向が気になってしまったのか、アシッド・ハウスのノリを全面的に取り入れて他のインダストリアル・ビート勢とは趣が異なっていた。それはリミキサーにも表れていて、UKテクノの雄(だった)ウィリアム・オービットやMUTEの長(であった)ダニエル・ミラーらに頼むなど、よりダンスフロア志向が見られた。
で、この三枚目はフロア志向と初期のヘヴィなロック志向の狭間のような感じ。それは冒頭のギターのようなシンセ音からして解るだろう。当時、ミニストリーナイン・インチ・ネイルズや(サンプリングだが)ヤング・ゴッズのようなスラッシュ・メタルをインダストリアルに取込んだ、所謂「インダストリアル・メタル」が出始める一方でよりエレクトロニクスでフロア向けのジャンル「ニュービート」も現れた。この手のジャンルはフェーズ2に入っていた。そしてこのフェーズ2より、後の(米国を中心とした)オルタナティヴへ行く者たち、よりエレクトロニクスを追求してトランスへと向かう者たちと分かれることになる。
このアルバムはその分水嶺を表わしている。オルタナへの萌芽、トランスへの萌芽、その両方の芽を聴くことが出来るだろう。シングルではリミキサーに後のケミカル・ブラザーズに改名するダスト・ブラザーズの名があったりするのもその分水嶺を表わしていて面白い。

She Past Away - Narin Yalnızlık

Narin Yalnizlik

Narin Yalnizlik

トルコのダークウェイヴバンドの2nd。
今から10年前以上……つまり2000年代初頭から前半にかけて、1980年代の音楽、ニューロマンティクス、ニューウェイヴ、エレクトロ・ポップス、ハイエナジーイタロ・ディスコなどが見直され、所謂80'Sリバイバルが巻き起こっていた。そして、それらは2000年代半ばには「エレクトロ・クラッシュ」として盛り上がった。エレクトロ・クラッシュは直ぐに下火になってしまったが、その流れは以降も細々と続いていった。
で、このバンドだ。一聴しただけで、バックボーンが解るような音には驚かされてしまう。ザイモックス、シスターズ・オヴ・マーシー、トリゾミー21、キュアー、初期ネオン・ジャッジメントジョイ・ディヴィジョン……。耽美で暗黒なニューウェイヴサウンドがぎっしりと横溢している。
これまで(自分が聴いてきた中では)ダーク・エレクトロの流れを汲む、ゴシックなサウンドが多かったが、前述したようにこのバンドは驚くほどに1980年代のゴシック、ダークウェイヴで、1980年代リバイバルが此処まで来てしまったのか……という点でも見逃せない。1980年代半ばから後半の「フールズ・メイト」誌がそのまま甦ってしまったような……。
ザイモックス、シスターズ・オヴ・マーシー、キュアーが交差するとき……。

Whitehouse - Great White Death

Great White Death

Great White Death

イギリスのパワー・エレクトロニクス、インダストリアルバンドの1985年発表のアルバム。
このバンドはキャバレー・ヴォルテールやスロビッング・グリセルの影響を受けた所謂「第二世代のインダストリアル」なんだけど、そのインダストリアルにある、より過激な方向を追求したバンド。パワー・エレクトロニクスというジャンルの創始者でもあるようだ。で、そのハードコアさから様々な問題を起こし(それらの逸話を良い子は調べないように!)、仕舞には殺害予告まで出されるというオチ。曰く「ネ〇ナ〇野郎!〇〇至上主義!!女性の敵!!!」という受けたくもない三重苦を背負う始末。
このアルバムは前述した「殺害予告」で国外逃亡した後、ほとぼりが冷めた頃を待って(待ったのかどうかは知らないが……)発表した復帰作。
でも、復帰前と変わらず全編に亘って工事現場みたいなノイズをバックに程度の低い不健全なことをシャウトするという「まるで進歩が無い……」アルバム。しかし、初期キャブスやSPKから知性を根こそぎ取ったような白痴インダストリアル・サウンドは彼らにしか作れない(そして作りたくない)清々しさを感じる音だろう。
覚えたての猥褻な言葉や差別的な言葉を絶叫するような小学生マインドが横溢するインダストリアルが此処に……。とてもじゃないがディスク・ユニオン等で数千円、または数万円出すアルバムじゃないのでブックオフの500円、280円棚で探して買いましょう。そんな値段が似合うアルバム!クソお薦め!

STG - No Longer Human

No Longer Human

No Longer Human

アメリカのインダストリアル系ロックバンドの1st。
ドイツのインダストリアル・ロック、エレボディ系レーベルZoth Ommogのコンピに参加していたバンドで、その熱く歌い上げるディー・クルップス系のドイツ的エレボディスタイルが気に入ったのですが、アルバムを出していたよう。しかも邦盤!
日本のライターが書いた解説文にはミニストリーナイン・インチ・ネイルズらと同バンドを比較しているが、前述した通りディー・クルップス系のそれ。ハンマー・エレクトロニック・ビートの上を直線的なギターやうねるシンセベースが疾走し、熱きシャウトが横溢しているメタル・ボディ!
……が、9曲目が何故か初期コントロールド・ブリーディングなハーシュなパワーエレクトロニクスになっていて(後半はデス・イン・ジューンな暗黒ネオ・フォークに……)、コンピだったのか?と思うけど、同バンド。もしかして、本来はこういう音を演りたかったのかな。
アメリカのインダストリアル系ロックバンドにしては珍しく独EBMスタイルが濃い。ディー・クルップスの「Ⅱ」、「Ⅲ」が好きな向きは買ってみると面白いかも。

Belfegore - Belfegore

Belfegore (Deluxe Edition)

Belfegore (Deluxe Edition)

ドイツのポジティヴ・パンクバンドの2nd。
昨日のエントリで思い出したコニー・プランクEBM仕事の一つベルフェゴーレのナイスリマスタ盤を紹介。なので勿論Pちゃんとミックスはコニー・プランク。しかも全面的にPとミックス。
あのEBMの始祖Deutsch Amerikanische Freundschaft、それに続く形でトミー・シュタンプを手掛けていたコニー・プランクはそれ以外でもユーリズミックス、ウルトラヴォックスといったUKのメジャーどころのバンドも手掛けていた。あとキリング・ジョークとか。
しかし、前者が割と好きなようにやっていた様に聴こえるのに対して後者はガチガチな仕事している様に聴こえた。このベルフェゴーレは前者と後者の境目にあるような音だろうか。冒頭のシンセベースとハンマービート、その上のサイケなギターリフが疾走する曲は一聴すると抜けのイイ、メジャー感があるハード・ロックンロールだが、もう一聴きするとハンマー・ビートとシンセベースの鳴りがDAFのそれにしか聴こえないという。
前述したように1980年代前半にキリング・ジョークのP仕事をしたコニー・プランクだったが、バンド、Pとの噛み合わせが悪く、終始消化不良を起こしていた。しかし、このアルバムではバンド、P双方で上手く噛み合っている。ゴシック・ロック(またはポジティヴ・パンク)とDAFが高いクオリティで融合している。コワルスキーといい本国のアーティストやバンドのPはメジャーでもイイ仕事をしているコニー・プランクは。
キリング・ジョークDeutsch Amerikanische Freundschaftの融合。1990年代のインダストリアル・ロックのひな型が此処に……。

Arno Steffen - Schlager

シュラーガー(Schlager) [CD:SSZ-3037OD]

シュラーガー(Schlager) [CD:SSZ-3037OD]

ドイツのアーティストによる1st。
1980年代半ば、フェアライトなるサンプリングマシーンの登場により音作りに相当な変化をもたらしたようだ。それはアート・オブ・ノイズを聴くまでもなく……。
このアルバムもそのサンプリング・マシーンをフルに使い……という訳では無く、自作のサンプラーを全面的に使い倒しているそうだ。凄い!……が買う金が無かったのだろうか、フルセットで一億円もしたらしいし。ちなみにあのコニースタジオで使い倒したそうです。勿論、コニー・プランクが全面的にバックアップ。
サンプラーを前面に……といってもアート・オブ・ノイズになっているわけでもなく、コニー・プランクP仕事のDAFやトミー・シュタンプを思い起こさせる、所謂「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」に仕上がっている。てか、まんまトミー・シュタンプ。
ノイエ・ドイチェ・ヴェレなスチャラカで素朴なメロディが流れつつも、メタル・パーカッション、硬質なエレクトロニック・ビート、ライバッハを思わせる荘厳で扇情的なオーケストラ、独語シャウトが横溢しており、どうにもEBMを演じてしまうのはコニー・プランクPの所為なのだろうか。またコニーP(のEBM仕事)の繋がりであろうコワルスキーやベルフェゴーレのメンバーも参加。どうりでエレボディになってしまうわけだ。
まだまだ1980年代のノイエ・ドイチェ・ヴェレ系の音源でヤバいのはあるぞ、というが自覚できたアルバム。そんな音源を再発したSuezan Studioには尊敬の念しか覚えない。トミー・シュタンプ好き、フィータスが好きな向きは買って損無!買え!以上!