Muslimgauze - Azzazin

Azzazin

Azzazin

英国のアーティストによる1996年発表のアルバム。自分が持ってるのは2004年に(2ndエディションとして)再発された盤の模様。
このアーティストといえば中東……アラビックな音像を魅せてくれるので有名。しかし、このアルバムはそれが無。またこのアルバムの不穏さと不可解さはなんなのだろう。
アルバムの殆どの曲がビーとかブーとかチリチリとかのブリープ音やグリッチ音で構成されている。当時、出始めていたオヴァルなんかのIDM系の音を取り入れたのかもしれないが、それにしてはベースがビリビリ(not御坂美琴)効いていて、どちらかと言えば後のダヴステップに近い。それもヒップホップ寄りのダヴステップじゃなくて、スコーンとかザ・ハクサン・クロークに近い。ダークでヘヴィ・インダストリアルなダヴステップだ。そして、そこへ不穏なアラブ・サンプリングが時折入って来て、よりアシッドかつダークな音像を増し増しにしてくるのがなによりも恐ろしい。
このアーティストの特徴であるアラブ音楽は希薄だが、不穏さと不気味ぶりはどのアルバムよりも濃い。アルバムタイトルが「アサシン」とはうまくいったもの。ザ・ハクサン・クローク、レーベル「Blackest Ever Black」を予見したかのような音は圧巻。二十年経った今こそ多くの人間に聴かれ、絶賛されるべきアルバムだと思う。真のオーパーツが此処に……。ちょうお薦め。