Muslimgauze - Turkish Berlina
- アーティスト: Muslimgauze
- 出版社/メーカー: Staalplaat
- 発売日: 2014/01/21
- メディア: CD
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……なんだけど、盤のどこにもクレジットが無く、どの曲のリミックスなのかを大手DBサイトにて調べたところ、全ての曲が無題でしたとさ……。だから何の表記も無かったんだね!
一応「Sarin Israel Nes Ziona」と「Jah-Mearab」に入ってた曲のリミックスがあるようだけど、「そんな曲、入ってたっけ?」と思うようなリミックス。かなり彼の音源では異色ではないだろうか(だから発表しなかったのかもしれない)。
いつもの中近東なメロディを乗せたダヴやトライバルビートものなんだけど、ジャングル、IDMテイストな曲もあって面白い。フロア向けがあるかと思うとディープなダヴもあったりして、リミックス盤らしく統一感が無い。特に2曲目のダビーな中東ジャングルはこの人にしか作りえない傑作だ。
この人のアルバムはダヴのアルバムならダヴのみ、フロア向けのアルバムならトライバルか四つ打ちのみに統一させてくることが多いので、このとっ散らかった感じは珍しい。
故人ながら(1999年に死去)、未だ定期的に(未発表やリミックス)リリースがある。もう流石に掘り尽くされたと思うが今後も注目すべきアーティストだろう。500枚限定とのことだが、ユニオン各店、中古盤屋で以外にも簡単に見つかったりする。またiTunesにもあったりするので興味を持たれた向きは検索してみるといいだろう。お薦め。
Leæther Strip - The Rebirth Of Agony
- アーティスト: Leæther Strip
- 出版社/メーカー: Cleopatra Records
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: MP3 ダウンロード
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1990年代のEBM系残党の中ではフロント・ライン・アッセンブリーらと並んで活動が盛んだったアーティストの一人。それなりのセールスも上げていたよう。
しかし、もうこの音はEBMというよりもサイケデリック・トランスと呼ぶべき音像でディストーションヴォイスがなかったならインダストリアルにもならない。 このアーティストが居たレーベル「Zoth Ommog」はその初期、1980年代末期当時ドイツとベルギーにあった多くのエレクトロニック・ダンス系レーベルと同じようにニュービートものを出していたが、このアーティストは見事にそのノリを引き継いでいる。初期Zoth Ommogは他のレーベルとは違い、アシッド・ハウス色が薄く、EBM直系のハードでインダストリアル色が濃かった。そのニュービートのダークかつゴシカルな音は後のジャーマン・トランスやUKトランスにも引き継がれたが、インダストリアルを強く残している点で初期Zoth Ommogのそれだろう。
しかし、内に沈み込んで行きながらハードコアにも突き進んで行く様な音像はサイケデリック・トランスとしか形容できない。このアルバムを聴けば、EBMがゴア、サイケデリック・トランスの源であったことは一目瞭然だ。
初期Zoth Ommog的ニュービートとサイケデリック・トランスが交差するとき……。お薦めの一枚。
Spetsnaz - For Generations To Come
For Generations To Come by Spetsnaz
- アーティスト: Spetsnaz
- 出版社/メーカー: Scanner
- 発売日: 2013/05/03
- メディア: CD
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昨日のエントリでEBMはトランス、インメタ、オルタナに吸収された、と書いたがその後にも(というかその最中にも)ジオンの残党の如くEBMを貫いている連中も少なからずおり、米国ではクレオパトラ、欧州ではZoth Ommog、オフ・ビートらのレーベルが1990年代を亘ってそれら残党を支援した。
しかし、それらのレーベルも2000年を迎えると徐々にフェードアウトしていく。が、折からの1980年代ニューウェイヴ・リバイバルにより、どさくさまぎれといった趣で始まった「オールドスクールEBM」というジャンル名で復活を遂げる。また米国ではメトロポリス、欧州ではアルファ・マトリックスらが前述したレーベルを引き継いでいった。
このSpetsnazはその「どさくさまぎれ」のオールドスクールEBMの先鋒となった二人組である。もろニッツアー・エブ、DAF、初期ディー・クルップスを思わす様なエレクトロ・ハンマービートにうねるシンセベース、だみ声でシャウトするヴォーカル。そのどれもがまぎれもない「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」であり、リアルタイムを知る世代は懐かしく、(自分の様に)リアルタイムを知らない世代には新鮮な音楽として迎えられた。
このアルバムはもう四枚目になるが、相変わらずのエレボディ。汗を垂らしながらハンマーを叩きつけるさま、これまた汗を垂らしながら叫ぶさま、バックで爆音で流れるシンセベースしか脳裏に浮かばないアルバム。
ぼ、ボディィィィィ~~~~ッッッ!!!以上!
Kode IV - Silicon Civilisation
- アーティスト: Kode IV
- 出版社/メーカー: Kk
- 発売日: 1995/03/27
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EBMから派生したニュービートが後にトランスへと移行、またEBMから派生したインダストリアル・メタルないしインダストリアル・ロックがオルタナティヴ(ロック)に吸収されたことは幾度かこのブログで書いてきた。
本エントリで紹介するアルバムはその前者のEBM⇒ニュービート⇒トランスへと見事な移行を遂げたユニットによるものだ。
このユニットは1980年代後半から1990年代前半のベルギーに幾つも在ったEBM/ニュービート系のレーベル「KK」から出していて、(このレーベルらしく)1st、2ndはエレボディだった。しかし注意深く聴くと、他のバンドからのサンプリング(大胆にもニッツアー・エブのベースラインをサンプリング)、また他ジャンル(アシッド・ハウス)からのサンプリングが目立ち、そしてエレクトロニックでダンサブルなノリに拘る音像は、エレボディというよりはやはり当時の数多のニュービート音源を思わせた。
このアルバムはそのニュービートの抒情的、ダークさを更に拡大させて、トランスへと進化させている。またゴア・トランスの伝説的な人物と言われているゴア・ギルも参加。どういう経緯で参加することになったのかは不明だが、それがそのトランスぶりを加速させている。もしかしたらゴア・ピープルだったのかもね、彼らは。ちなみに本ユニットのPeter Ziegelmeierはこのアルバムを出した一年後にゴア・トランス、サイケデリック・トランス系レーベル「Ceiba Records」を立ち上げている。見事だ。
EBM⇒ニュービート⇒トランスの軌跡が此処に……。興味を持たれた向きは1st、2ndを聴くともっと解り易くその軌跡を聴くことが出来るだろう。お薦めの一枚。
Electro Assassin - Bioculture
- アーティスト: Electro Assassin
- 出版社/メーカー: Metropolis Records
- 発売日: 1995/05/16
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「モロFront 242なバンドは?」と問われたなら真っ先にこの二人組を挙げるだろう。それほどまでにこのアルバム(というよりもこの二人は)フロント242すぎる。
この時期……1993年はもうフロント242はインダストリアル・メタル路線に移行しており、しかしそのクオリティの微妙さから徐々にフェードアウトしていった。1990年代最後のエレボ路線になってしまったアルバム「Tyranny >For You<」はサイコーだったが……。
しかし、このデュオはそれを引き継ぐかのように清々しいほどにフロント242ライクなサイバー・パンクス溢れるエレクトロニック・ボディ・ミュージックだ。しかも只フォローするのではなく上手い具合に更新させて来ているのは凄い。その更新内容がサイケデリック・トランスなメロディだから凄い。あの曲がったシンセの音を見事にフロント242と融合させている。
この辺りからジュノ・リアクターなどの所謂サイケデリック・トランスが出てきたが、初期はEBMと同じ括りだった。そのボディとサイトランスの狭間を感じさせてくれるのがこのアルバムだろう。フロント242が好きな向きにはお薦めしたい一枚。
Psychick Warriors Ov Gaia - Ov Biospheres And Sacred Grooves: A Document Ov New Edge Folk Classics
Ov Biospheres & Sacred Grooves
- アーティスト: Psychick Warriors Ov Gaia
- 出版社/メーカー: Restless Records
- 発売日: 1993/08/10
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このアルバムを出したKKレコーズなるレーベルはInsekt、 Kode IV、Front Line Assembly、Vomito Negro、Cat Rapes Dog、そして日本の2nd Communicationという錚々たる面子のEBMを出していたベルギーその筋。
今までも何回かこのブログでEBMとその派生であるニュービートがトランスの原点だと書いた。で、それは後のサイケデリック・トランス、ゴア・トランスの流れにもなったとも書いた。そして本エントリで紹介する盤は後者のサイケデリック・トランス、ゴアに組するものだ。
このアルバムは一聴きすると、1990年代半ば、または後半に出たものだろうと感じるだろうが、1992年発表のアルバム。しかもレーベルはボディ系。全きオーパーツみたいな音だが、1980年代半ばには既にジュノ・リアクターのベンワトキンスやキリング・ジョークのユースらがまだまだチープではあったが試みていたことで、もしかしたらこのユニットもそれに影響されたものなのかもしれない。あとはムスリムガーゼやホルガー・シューカイのソロにも似たような中近東的なリズムやメロディも感じられる。
このPsychick Warriors Ov Gaiaに限らず、後のゴア、サイトランスに影響を与えている音は様々なエレボ系レーベルで聴くことが出来たりするので、興味を持たれた向きは1980年代末期から1990年代初頭のその筋から出ているコンピ(タイトルに「テクノ」という言葉が入っているものが当たり)を聴いてみると面白いかもしれない。
Dessau - Details Sketchy
- アーティスト: Dessau
- 出版社/メーカー: Fifth Column Records
- 発売日: 1995/09/19
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1stはミニストリーからアル、ベイカーがジョイ・ディヴィジョンのカバー曲で参加するのみだったが、今作はポール・ベイカーが作曲&Pちゃんとして数曲も参加。またディー・ワルツォーの面子も数曲参加。
前作はキリング・ジョーク的な暗黒舞踏が前面に亘って展開しているという素晴らしきアルバムだった。しかし、今作はその暗黒舞踏にトランシーなデジタル・リフが合わさるというウルトラ傑作に仕上がっている。
キリング・ジョーク的な暗黒舞踏と前述したが、元々この人達はEBM系の音、ニッツアー・エブや初期のミニストリーに影響を受けているせいか、直線的で疾走感もある。そして、本作はその持ち味を活かしながらのトランスっぽいデジタル・リフを加味している。ミニストリーのポール・ベイカーが書いている冒頭からしてTB-303のアシッドベースが暗黒舞踏に絡むという圧倒的な音を魅せる。これは「脱インダストリアル宣言」でノイズやデジタルリフを排して純粋なメタルやハード・ロックに向かってしまったミニストリーにベイカーは何かを感じることがあったのだろうか。その後も激アシッドな呪術舞踏が続きつつ、アーシーかつダビーな4、5曲が良いアクセントになっている。
この2ndアルバムは、彼らの最高傑作ではないだろうか。ナイン・インチ・ネイルズ、KMFDMとも全く異なるインダストリアル・ロックが此処に……。要チェックやで!