Velvet Acid Christ - The Church of Acid

The Church of Acid

The Church of Acid

USのエレクトロ・インダストリアルバンドの1st。
去年の暮れにVatican Shadowの「Remember Your Black Day」を「どこかで聴いたことがある……」とデジャブに襲われていたのだが、それがなんなのかは全く覚え出せず2014年を迎えた。しかし先日酔っ払ったアシッドブレイン状態で何の気なしに聴いてたら、思い出した!
でそれが本エントリで紹介したいVelvet Acid Christ(以下VAC)だ。このVACなるバンドは自分が定義するとこの「90年代EBM」。色々検索を掛けてみると、「ジュノ・リアクターやスキニー・パピーに影響されて……」のようなことが書かれていて、大概こういう情報はあてにならないがこのバンドに関しては音源を聴くと(自分でも)納得できる。
PVやパフォーマンスで様々なホラー映画や時代の暗部(例えば湾岸戦争ガイアナ寺院、そしてマンソン家族の映像)を引用しながらも、決してポップな部分を忘れないバンドというイメージをスキニー・パピーに関して思っている。実験的で嫌悪するような映像(イタロ・スプラッター動物実験の映像)を見せながらも、その実排他的ではない親しみ易さがある。この路線をもっと分かり易くかつサブカル度を高めたのがマリリン・マンソンだと自分は思っている。マンソンを手がけた元スキニー・パピーのメンバーに数えても可笑しくないプロデューサー兼エンジニアのデイブ・オギルヴィーのインタビュー等を読むとそれがより一層理解できると思う。
VACはそのスキニーと90年代以降のトランスを融合させたものだ。90年代半ばにプログラマーのドゥエイン・ラドルフ・ゴッテルがヘロインの盛りすぎによる事故死、そしてオギルヴィーがNINのトレント・レズナーと組んでのマリリン・マンソンにかかりきりになるようになり、後追いの自分でも解ってしまう程の失速を見せる。90年代後半のスキニーはドゥエイン・ラドルフ・ゴッテル死去の前に録音していた「The Process」のみだった。そのアルバムは素晴らしい出来だったが、00年代半ばに復活した聴けば分かるようにオギルヴィーと同じ転向に気がついてしまう。そんな最終回後の「またあれが観たいなぁ」という顧客のニーズ(オレ、オレだよ)に応えるのがVACだと思っている。いくつかのPVや音にあの暗黒だがポップに溢れかつぶっ壊れたインダストリアルの面影を観て聴ける。
90年代におけるポスト・スキニー・パピー。またこの手の音楽を鳴らすのはVACだけではなく(自分が知る限りでは)Mentallo and The Fixerなどが挙がるだろう。お薦め。