Indus Bonze - 土着

土着: Dotyaku (Native)

土着: Dotyaku (Native)

日本のアーティストの1st。
ここ5年で所謂1980年代の「ノイズ・インダストリアル」な音をクラブミュージック、つまりダンスミュージックで実践するものが見受けられるようになった。このアルバムもそういう流れから産まれてきたのかは解らないが昨今の(ダンス音楽における)「インダストリアル・リバイバル」に当てはまるだろう。
ここで前述した1980年代の「ノイズ・インダストリアル」について書きたい。このジャンルはスロッビング・グリセルのジェネシス・P・オリッジが立ち上げた「インダストリアル・レコーズ」や彼の発言から勃興したジャンルで、その初期は後にパワー・エレクトロニクスと呼ばれるようなパンキッシュでノイジーなものが多く、折からの「ヘイト&ウォー」と同調するようなジャンルだった。
しかし、1980年代を過ぎるとキャバレー・ヴォルテールを筆頭によりダンサブルでポップな聴きやすい音を目指すようになっていく。がホワイトハウス、ラムレーなどはその流れに反発して旧来のパンクテイストのノイズつまりパワーエレクトロニクスを作り上げる。サイキックTV、テスト・デプトらもキャブスの流れに乗り、踊りたくなるようなかつポップなインダストリアルへと移行していった。
このアルバムの話に戻ると、その各々のインダストリアルバンド達がダンサブルな音に移行しようとしていた過渡期的な音をフィーチャーしたアルバムに自分には聴こえる。そこに2000年代のブレイクコアやゴルジェを足した様な音だ。SPK主宰の「サイドエフェクト」から出していたハンティング・ロッジ、アラブ音楽とインダストリアルの融合を試みたムスリムガーゼ、同じく中近東の音を取り入れていたエスプレンドー・ジオメトリコなどのトライバルなノリを暗黒的なインダストリアルに注入していた1980年代半ばから1980年代後半の音にこのアルバムは近い。またエレボディ系レーベル「KKレコーズ」にいたサイキック・ウォリアーズ・オヴ・ガイアのトライバルな音像にもまた近い。
タイトルが「土着」とはよく言ったもの。怪しげな民族インダストリアル・ダンスに震えが来る。ここ最近の新譜ではベスト!買え!以上!