SPK - Machine Age Voodoo

Machine Age Voodoo

Machine Age Voodoo

オーストラリアのノイズ/インダストリアルグループの3rd。
初期のハードノイズから脱却し、一転ニューオーダーのようなエレクトロ・ディスコを披露。これが当時、どれだけ衝撃を与えたかは知らないが(ノイズ界隈から総スカンを食らったらしい)、自分的には好きで再発を待っていた作品。やはり少しとはいえ音楽教育を受けた身としては1stのようなノイズの嵐というのは自分の耳にはまさに雑音でしかない(まぁ最近になって聴けるようになったが)。だからディスコ路線のこのアルバムは心地よく聴けて好き。がこのアルバムが後のインダストリアルやEBMに影響を与えたということを考えるとちょっと違うのではないかと。むしろ、ニューオーダーイタロ・ディスコ、ハイエナジーに近いものではないだろうか。この時期(80年代中期)直接的にEBMに影響を与えたのはノイバウテンの「半分人間」やデペッシュ・モードの「Some Great Reward (Bonus Dvd)」ではないだろうか。ノイバウテンがダンス路線を選んだのにも関わらず享楽的なイメージを持たせない音楽作りになっているがこの作品にはもろ80年代的なハイエナジー等の悦楽のディスコビートがどくどくと溢れだしている。メタルビートやインダストリアル・ノイズが聴こえるのに。
とここまで考えてきたがこのアルバムはSPKの中心人物グレアム・レヴェルの「とにかくお金を稼ぎたかった」という発言に現れていると思う。自分は80年代に生まれたとはいえ、まだ乳児だったので分からないがネットや雑誌を読んでみるととにかくこの時期はハイエナジー/ユーロビートが全盛でネオサイケからユーロに転向したデッド・オア・アライヴ派手に売れていたようで。またニューオーダーもユーロやハイエナジーを吸収したダンス・ロックを出していた。ただしやっぱりノイズ畑から出てきたというのもある通りどこか歪である。それはディスコにメタル・ビートやノイズを紛れ込ませるというところ。真っ当なイタロやハイエナジーを作ろうとしたら金属殴打音がいるとは思いつかないでしょう?
金儲けでニューオーダーみたいなエレクトロ・ディスコを作ったがメタルビートやインダストリアルノイズを紛れ込ませたのは当時のディスコの範囲を超える。今聴いても古くならず、新鮮。超お薦め。無くなる前に買え!