Chemlab – Burn Out At The Hydrogen Bar

Burn Out at Hydrogen Bar

Burn Out at Hydrogen Bar

アメリカのインダストリアル・ロックバンドの1st。
ナイン・インチ・ネイルズミニストリーの成功によりこの手のバンドが全世界から雨後の竹の子のように出てきたわけ……だったが特にその多くを輩出していたのがさっきのNINとミニストリーが居たアメリカ。メタルが強いアメリカで「インダストリアル」と名のつくジャンルが受けたのは面白いが、NINにしてもミニストリーにしても「メタル」を取り入れてからの音楽が受けたわけでその牙城は崩れることは無かったよう。
しかしながら当時は(一部から)「デジタル・スラッシュ(メタル)」と呼ばれていたことから(エレクトロニックな音楽の受けが悪い)アメリカでも変化していたことが解る。このアルバムがスレイヤー、メタリカ、カンニバル・コープス等が居たスラッシュ・メタル、デス・メタルレーベル「Metal Blade Records」から出ていることがなによりの象徴だ。またその少し前、例えばデペッシュ・モードのアメリカでの成功(野球スタジアムを満杯にしてのライヴ)やフロント242らのEBMが受けたことなどを見てもそれは解って貰えると思う。あと現在、EDMがアメリカで人気(もう終わっているのかもしれないが)なのもこの時の下地があって成り立ったものだと個人的には思っている。
で、アルバムの内容に移るとあんまり書くことがなかったり。だって「NIN眷属的インダストリアル・ロック」で済んでしまうから。あはは。金儲けは嫌いじゃないが(というか大好き)あまりにも「まんま」過ぎる。Wax Trax!から出てたシスター・マシーンガンの1st並の厚顔ぶり、と書けばその筋は察することが出来ると思う。とは言え性急かつ直線的なエレクトロ・ビートの上をモーター、ドリル駆動音を始めとする所謂インダストリアル旋律やデジタル・リフ、うるさいギター、ディストーションかませて叫ぶヴォーカル等々の音が解り易くも「インダストリアル」で「ロックンロール」しているけど、終始感じるあか抜けなさが良い味を出していてなかなか魅せます。この味は前述したシスター・マシーンガンと似たものを感じる。ハンバーガーが主食のアメリカンという画が浮かんでくる。ここを押さえていればあとはイイや、みたいな大味ぶりというかさ。そこが病的に緻密なNINとは大きく異なる部分だと思ったり。
とてもアメリカンなインダストリアル・ロックンロール。大味かつ粗雑な音はハンバーガーをパクつく時には最適のBGMになるだろう。以上!